さおりさんとしてはめずらしく、
「観戦しながら梅ヶ枝餅でもいただこう♡」と、
香ばしいかおりに誘われ、大宰府名物・梅が枝餅の焼きたてを入場してすぐ、一つ購入♡
お席へ向かうと右隣の角席には、すでに先客の荷物が置いてありました。
正午頃は、三段目の取組の進む時間帯で、この時点での客入りはいつも大体2割もいない…?という程度にまばらです。
このタイミングでいらしているお客様というのは、
「幕下以下の取組の一生懸命さがいい」
「相撲の文化が興味深い」
「大相撲の雰囲気が好き」
「推し力士が幕下以下にいる」等々の理由で、早くから来館されている方が殆どであろうと思います。
とにかく午前から会場におられる皆さんは、『大相撲が好き』こういって過言ではないでしょう♡
(かく言うさおりさんも、その中の1人…?)
🐥
この日もいつものように、お客様はまだまばらな館内でした。
着席し、ピヨちゃんをおヒザの上に乗せて、
「そうそう、福岡国際センターってこんな感じだった♡」と会場を見渡し、本日の取組表に目をやる。
するとほどなく、右隣の先客がお席に戻って見えました。
「お一人で、いらしてるのですか」
そう気さくに話しかけてくれたのは、細身のシルバーヘアの紳士。
紳士と言っても服装はカジュアルです。
しかし、言葉の使い方や話し方、佇まいで“品の良い人”であろうことはすぐに判りました。
🐣
「はい。基本的にいつも一人で(いや、本当はピヨちゃんと一緒だけどね…♡)、観戦に来ています。」
「僕もそうなの。ちょうど去年の九州場所に観戦してから毎場所…両国、大阪、両国、名古屋、両国と。
新しい楽しみを見つけちゃった。はまったね。」
紳士は愛知県の出身で、大相撲観戦が趣味になるキッカケとなった昨年の九州場所あたりまで、
北海道旭川市に住んでいたことを、会ったばかりのさおりさんに話してくれました。
「旭川には1年半いた。だけど、こういうのもそろそろ卒業しようと思って、引き払ったんですよ」。
現在は愛知に戻り、2か月毎に開催される大相撲の各場所を観戦しつつ、併せて付近の旅行をすることが新たな楽しみであり、目標であり、張り合いになったという。
「昨日今日と観戦して、明日は別府に“下見”に行くの。」
別府は今後も帰りたいと思える、心の故郷になりえるか?
二十歳になるころから紳士の〝心の故郷〟は函館にあり、1人で、または子供を連れ、
盆正月帰省するように、あるときは仕事に疲れて逃げるように、何度となく“帰った”場所が函館だったらしい。
今まで縁もゆかりもなかった土地に、無類の心地よさを覚えることがある。
私にとっての両国が、おそらく同じ感じかなぁ
そう思い至らせて、紳士のはなしに耳を傾けていました。
昨夜は滞在先の天神にある、「大阪王将」で夕食を取ったとのことで、地方へ行っても特に土地の名物に興味がない事。
「なんか吊り屋根が小さい感じがしない?」とか、呼び出しさんの一連の動きを覚えたりと、ついマニアックな点に目が向く事。
「力士、行司、呼び出しの一つ一つの所作があんな風に、繰り返しくりかえし行われてきているんだよね。昔から変わらずに。すごいことだよね」と、相撲の文化伝統に惹かれている事。
共通する感覚が多いのです。
聞けば紳士のお年はさおりさんと半分ほど違ったのですが、なるほど、お話しを伺っていて飽きません。
「両国では、線路下の中華屋さん…」
「あ、日高屋さんですか?」
「そうそう、よく知っているね!相撲を観終わって、日高屋で夕飯を食べて。となりの“まいばすけっと”で、バナナとかみかんを買って、ホテルへ帰る。侘しいもんですよ」
この九州場所も、滞在先ちかくのスーパーで夕飯を調達したさおりさんです。
面白おかしく言えば侘しい、本音は「それが落ち着くんですよね。自分に合っている」。
🐤
十両・幕内の取組も、もちろん良い。
でも僕は、上にあがりたいって一生懸命に戦う、この時間の取組が好きなんだよね。
そう紳士が語っていた三段目の時間から、早くも結びを終え弓取式。
初場所は何日目の、どのあたりのお席で観戦されるのかも既に教えて下さいました。
「見かけたら、声かけて」
「もちろんです。私のことも見かけたら、ぜひお声がけ下さい」
そう挨拶して、その場でわかれた。
連絡先は聞かずとも、会う人には会うものです。
「なんか沢山お話ししちゃって、ごめんね。昨日誰とも話さなかったから、楽しくて、つい。」
その言葉が嬉しかったさおりさんです。
目の前で進行してゆく一番一番に、紳士のおしゃべり、よもやま話。
いつもと違う愉しい大相撲観戦の一日。
そんな九州場所10日目でした。
一期一会、またお話しできることが楽しみなさおりさんであります♡
